Q. 先日,住宅展示場で戴いた木造住宅のパンフレットで,コンクリート,金属,木造の箱でネズミを飼育した場合,コンクリートの箱では一ヶ月の間にほとんどのネズミが死んでしまうような内容の記述がありま した.今,私はコンクリートのマンションに住んでいるのですが,いつかは同じような結果になるということですか?
A. これは,名古屋大学農学部・佐藤孝二教授,竹村富男教授らが実際に行われた有名な実験で,発表されている経緯から判断しましても,信頼できるデータだと思います.
最近,木質環境が人間の生理や情緒に与える影響が科学的に明らかにされつつあり,この点からも木造住宅が見直されています.
ただし,佐藤教授らの実験の結果は,あくまで「木材は熱伝導性が低いため保温効果が高い」ことを示したものであって,「コンクリートに囲まれて生活したネズミは気が狂ってしまった」のではないことに注意してください.
ですから,コンクリートのマンションでも,まさかコンクリートの上に何も敷かず直に寝ている人はいないでしょうから,そのような心配はありません.(MI)
Q. 大きな断面の木材を使った室内にいるとなぜ落ちつくのでしょうか?
A.
- 大きな質量の木材は張り合わせたものにはない深みがあり,木材のたくましさが感じられて安心感があります.
- 大きな質量のある木材からは気持ちが落ちつく木の香りが出てきます.
- 木材は優秀な断熱材,遮音材ですので,大きな断面の木材でできた室内では外部の熱の変化や騒音の影響を受けることが少ないので落ちつきます.
- 木材は湿度を調整する作用がありますので,外部の不愉快な高湿度や低湿度の状態から室内の湿度を一定に保つので,気持ちが落ちつきます.(KY)
Q. 木目が室内にあると落ち着きますが,部屋が暗くなる心配がありますが木目をインテリアにいかすポイントは何でしょう.
A. 重役室のように,重厚なイメージを出したい場合には,明度があまり高くない木材を用いてもいいのですが,一般的には,明るい木材を使うことをお奨めします.
明度の高い木材とは,淡色の材です.やや黄味あるいはほんのり赤みを帯びる程度の材が多いでしょう.スプルース,モミ,エゾマツ,トドマツ,ヒノキ,シナノキ,シオジ,タモ,キリ(市販のものは漂白してある場合が多い)などいろいろとあります.塗装をしてある場合も艶消しの明るい目のものを選ぶとよいでしょう.
木材が部屋に沢山あればある程良いといったものではなく,その部屋をどのような雰囲気にしたいかで木材の使い方,最適な木材率が異なります.より自然な雰囲気にしたい場合は木材率を上げるといいのですが,閉塞感がでないように注意が必要です.また,単調にならないように何らかの形でアクセントをつけるとよいでしょう.
ワイルドな雰囲気や木の生命感を感じたい場合には,節のある材とか,木目の複雑な材を使うことが考えられます.
意外に少ない割合でも,木製の家具など,木材が視野にあるとなごむものです.(MM)
Q. 木材の調湿機能について説明してください.
A. 木材は多孔質ですから,意外に多くの水分を吸着します.
具体的には,105mm角の杉の柱一本にビール大瓶で2.5本ほどの水分を含みます.しかも,このうちの0.5本分くらいが外気の湿度によって,自由に出入りしています.
木以外に土壁なども調湿機能がありますが,木材ほど多くはありません.
最近は,ほとんどの家庭にエアコンが普及していて,梅雨などの高温高湿時には除湿で使われることが多くなりました.エアコンは,室内の空気を冷やして余分な空気を取り除くので,室温も同時に下がります.湿度は一般的に温度が1℃上がると数%上がりますから,空気中から水分を除いても結果的には湿度はそう変わらないこともあります.
その点,木材は温度変化を伴わず余分な湿気を吸いますから,大変理想的といえます.(KA)
Q. 結露はなぜ起こるのでしょうか? それを防ぐ工夫は?
A. 結露は,表面温度がその周りの空気の露点以下になると生じます.
夏に,冷たいビールや水を入れたコップに,露が付いたり,冬に外から暖かい部屋に入ると眼鏡が曇ったりするのと同じ原理です.
ですから表面温度が露点以下にならなければ,結露は起こらないのです.壁の場合は断熱性をよくすること,窓ならペアガラスなどで断熱性を増し,室内の温度とあまり差のないようにするとよいのです.
壁の中での結露,すなわち壁内結露を防ぐには,断熱性を高めると同時に,防湿シートを用いて室内の水分が壁内に流れないようにする工夫も必要です.
コンクリート壁のように,熱容量の大きな壁では,午前中温度がなかなか上がらなくて,露点以下となることがあります.特に,隅角部で結露が生じカビの発生の原因となる場合があります.このような場合でも,木材を内装張りすると,木材の断熱性と吸湿性の効果で結露を防ぐことができます.(MM)
Q. 木質フロアーがダニが発生しにくいのはなぜ?
A. 「カーペットがダニの温床!」とのテレビ報道で一挙に木質フロアーへの流れが加速されたのはご承知の通り.
ある実験では,カーペットでは104匹/m2のダニが生息しており,これを木質フロアーに変更すると23匹に減ったそうです.その理由を改めて整理してみました.
- カーペットは毛足の中に,人間の垢やフケ,毛髪などダニの餌になるゴミがたまりやすく,電気掃除機でもなかなか吸い取れない.それに対し,木材はほこりを吸いにくい.また,同じ量のほこりが木質フロアーの上にあったら,汚くて目立って仕方がない.さっさと掃除するから清潔という見方も.即ち,木質フロアーでは,ダニにとって物理的に繁殖に適さない住み難い環境を作っているという事になる.
- スギ,ヒノキ,マツなどではダニの増殖自体を抑制する効果がある.これら木材からでる蒸散成分(ヒノキ精油などが有名)の中には,ダニの増殖抑制成分もしくは殺ダニ効果を有する化学物質が存在するようである.(KA)
Q. ウッドデッキが流行っていますが,なぜ歩き心地がいいのでしょうか.
A. ウッドデッキの歩き心地のよさは,木材の力学的異方性にあると言われています.
木材は,かつては樹木として生きていたものですが,樹は生きているとき,自らの自重を支えるとともに,風による曲げの力にも耐えなければなりません.そのために樹の立っている方向(軸方向,鉛直方向)に特に繊維を強くしなければなりません.また,一方で細胞の中を中空の細長いチューブにして軽くする必要があります.そのようにすると,実は風による曲げに対しても都合がよいのです.というのは,太くなると曲がりにくく折れにくくなるのです.
太い方が曲がりにくいということは,日常よく経験することですね.中空にして太くし,折れにくくした結果,樹(木材)は,太さ方向には中空なので,変形し易いのです.そのため,ウッドデッキは,足で踏みつけた瞬間,繊維に直角方向の(中空がつぶれる)変形をし,局部的に歩行の衝撃を吸収してくれるのです.このことが,ウッドデッキが足にやさしいと感じる主な要因と考えられます.
また,中空の細胞でできているので,熱が伝わりにくく,足から熱が逃げない,あるいは足に熱が伝わってこない,すなわち,足が冷えにくく,つめたくも,あつくもないということも,歩き心地の良さに関係しているものと考えられます.
雨上がりでも歩きやすく,バーベキューなども出来るので,今後は,家庭にもウッドデッキが普及することでしょう.(MM)
Q. 家具などから放散するのホルムアルデヒドについて,何か基準はありますか.
A. 食器棚及び育児用たんすについては,SGマークというマークがつけられている製品があります.
SGマークは,Safety Goods(安全な製品)の略号で,製品安全協会が定めたものです.「構造・材質・使い方などからみて,生命または身体に対して危害をあたえるおそれのある製品について,安全な製品として必要なことなどを決めた認定基準を,製品安全協会が定め,この基準に適合していると認められた製品にのみつけられるマークです.」(製品安全協会パンフレットより)
食器棚及び育児用たんすについてのSGマーク認定基準には,使用材料として育児用タンスの「Ⅰ型」にあっては,合板ではJASのF1,パーティクルボード,繊維板等ではJISのE0に,また育児用タンスの「Ⅱ型」及び食器棚にあっては,合板ではJASの(F1若しくは)F2,パーティクルボード,繊維板等ではJISのE2に適合するものであることとしている他,表面に接着剤を使用して加工を行った場合も各々同等の放散量基準をみたすこと,また塗料についてはホルムアルデヒドを含まないものであることなどを規定しています.(HY)
Q. 住宅内のホルムアルデヒド気中濃度について,何か規制はありますか.
A. 住宅室内空気中のホルムアルデヒド濃度等について,法的な基準は日本にありませんが(平成10年6月現在),近年社会問題となっている現状に鑑み,厚生省で組織された「快適で健康的な住宅に関する検討会議」が,平成9年6月にホルムアルデヒドの室内濃度指針値を提案しています.
この指針値(「30分平均値で0.1mg/m3以下」→室温23℃の下で約0.08ppmに相当)は,住宅室内のホルムアルデヒド濃度についての規制を定めたものではありませんが,居住者の健康被害を減少させるための目標と言えます(居住者がアレルギーや化学物質過敏症などの場合を除きます).
また,平成8年7月,産官学の共同により発足した「健康住宅研究会」では,発足から平成10年3月までの間,健康に影響を与える可能性のある揮発性有機化合物(当面優先的に配慮されるべき物質としてホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,木材保存剤,可塑剤,防蟻剤を選定)に関して調査・検討を重ね,室内空気汚染の低減のための「設計・施工ガイドライン」及び「ユーザーマニュアル」を策定し,室内空気環境の良い住宅をつくっていくための設計・施工者としての考え方や住まい方の提案を行っています.(HY)
Q. 木質建材のホルムアルデヒド放散量の基準について教えて下さい.
A. ホルムアルデヒド放散量の基準は,JAS(日本農林規格)では普通合板,コンクリート型枠用合板,構造用合板,特殊合板及びフローリングの規格に,JIS(日本工業規格)ではパーティクルボード及び繊維板(MDFのみ)の規格に規定があります.
基準の数値は,一定枚数の試験片をデシケータという密閉容器に入れて20℃で24時間放置した時,一緒に入れた水に吸収されたホルムアルデヒドの水中濃度です.
このデシケータ値は一般に問題となる気中濃度(単位ppm等)とは別のもので,デシケータ値から気中濃度を推定するには,その建材の使用量,部屋の容積,温湿度,換気量等が大きく影響し,また建材からの放散量は十分な換気が行われれば時間経過とともにある程度のレベルまでは急速に低減するといったこともあるため簡単ではありませんが,影響する因子を考慮した推定式などが提案されています.
最近,ホルムアルデヒド等の化学物質による室内空気汚染が大きな社会問題となっていますが,合板などの木質建材でも価格を抑えられた中でホルムアルデヒド放散量の低減に各メーカー努力されており,全般的には放散量レベルの低い製品がかなり普及してきていると言えます.
なお,JASのF1~F3の基準は,低ホルムアルデヒドである旨の表示をする場合のみ適用する任意基準であり,Fの表示がないからホルムアルデヒド放散量がF3の基準を必ず超えているとか,F3が最悪レベルであるとかいうことではありません.
一方,対象となる製品は違いますが,JIS表示品はE0~E2の何れかに分類されます.(HY)
デシケータ法による水中濃度の基準 | JAS(任意) | JIS(択一) | 備 考 |
0.5mg /?以下 | F1 | E0 | JASは左の数値が何枚かの平均値の基準で,他に各枚の最大値の基準があります. JASとJISでは厚さにより試験片の数に若干差がありますが他は同じ方法です. |
1.5mg /?以下 | - | E1 | |
5.0mg /?以下 | F2 | E2 | |
10.0mg /?以下 | F3 | - |
Q. 木材で囲まれた空間の湿度変動は何故少ないか?
A. 文化財の保存にとって,湿度管理は重要である.
湿度変動によって,木製品など吸湿性の材料は伸縮し,その結果,割れ,狂いが生じたり,塗膜,絵の具類の亀裂,剥落が起こる.湿度が常に高いと,木製品,紙製品類は生物劣化を受け易く,金属製品は腐食し易い.
それを防ぐため,博物館,美術館などの収蔵庫の内壁面には木材が内装され,重要な文化財については,桐などの櫃内に保存されている.
この理由の一つとして,木材が湿度を調節する働きのあることが上げられる.木材は,吸湿性に富む材料で,周囲の温度,湿度条件に応じて,一定量の水分を保有している.周囲の温度,湿度が変化すると,木材が吸・放湿して,湿度の変動を緩和する.
住宅の内装材料においても,湿度調節の機能を備えていることが,結露,カビ汚損,ダニ発生などの防止のために重要である.(MN)
Q. 新築住宅に引っ越しました.押入やクローゼットを開くと,ホルマリンのにおいや刺激臭があります.においを消せないのでしょうか?
A. 現在ではホルマリン臭の少ない建材が多数発売されていますので,最近の新築住宅で刺激臭がすることは少ないと思います.でも,湿度が高く,温度が上昇した場合,刺激臭を感じることがあり得ます.この場合,押入やクローゼットの内側に塗布することにより,化学的にホルマリン臭を減らす商品が発売されています.ただし,壁紙などに変色を来すことがあるので,確認して使うようにしてください.この商品はDIY用品店,塗料店,建材店などで販売されています.(接着剤メーカー勤務・YW)
Q. カーペットの貼られている床を自分で木質フローリングに張り替えたいと思っています.接着剤には有機溶剤が含まれていたり,刺激臭があったりするそうですが,どのようなことに注意したらよいですか? 溶剤や刺激臭の少ない接着剤はありますか?
A. 床貼り施工の専門業者の方からこの問題を指摘されることが多く,接着剤メーカーは改良を重ねています.現在,接着剤に含まれる溶剤の種類,含有量など,ちゃんと規定内におさまっている商品が販売されているわけですが,臭気については人によって感じ方が異なるため,いかに溶剤の量を減らすかが商品の改良ポイントになります.溶剤などを規定内の最少量に抑え,無溶剤に近いところまで減少させた商品も販売されています.
自分で日曜大工のつもりで作業されるのであれば,2液混合型よりも1液型のウレタン系接着剤を使うことをおすすめします.ただし,若干の臭気はあると思ってください.(接着剤メーカー勤務・YW)
Q. L値とは何ですか?
A. 戸建て住宅やマンションの床の防音性能(遮音等級)を評価する数値のことです.
上階で発生し,床を伝わって下の階に響く音のうち,子供が飛び跳ねたりした時のドシンドシンという音など低い響きの音を重量床衝撃音といい,ハイヒールで歩いた時のコツンコツンという音など高い音色の音を軽量床衝撃音といいます.
JISでは、所定の方法で上階で発生させたこれらの音を,下階で7つの周波数(音の高さ)別に測定し,これらをL特性といわれる評価指標と比較して,床衝撃音の遮音等級をきめることとしています.
Lの値が小さいほど,遮音性能が優れていることを表しています.壁の遮音性能をあらわす値にはD値があります.(YF)
Q. D値とはなんですか?
A. 壁の遮音性能を等級分けして表した数値のことです.
JISでは壁で隔てられた部屋の片方で,所定の方法で音を発生させ,隣室で測定し,3つの周波数(音の高さ)別に両室での音のレベル差を求め,これらをD特性とよばれる評価指標と比較して,遮音等級を決めることとしています.
Dの値が大きいほど遮音性能が優れていることを示します.
床の衝撃音の遮音等級を示す値にL値があります.(YF)
Q. バリアフリー住宅って何ですか?
A. 身体的傷害や年齢的な衰えのために使用する事が困難になっている建物の内外の障害を,取り除いたり解消する手段を用意して,安全で快適に暮らせるように,工夫を施した住宅のことです.
具体的には,例えば,以下のような改良を加えられた住宅のことになります.
- 室内の段差の解消
高齢になると,足腰の筋肉が弱り,いわゆるずり足となって,段差が大きくなると簡単な移動が困難になったり,ちょっとした段差につまずいて転び骨折等のけがの原因となることが多くなります.また車椅子や歩行補助の機器を使う場合にも,ちょっとした段差が障害となります.
そこで,和風の住宅にありがちな廊下と室内,洋間と和室などの間にあるわずかな段差をなくして同一平面にします.特に,便所や浴室等は水を使うために,一般的には大きな段差がある場合が多いのですが,最近では,出入口を葺き戸とし,その部分に排水ユニットをつけて,段差を解消する事が行われています. - 廊下や階段,入口の幅
車椅子で部屋から部屋への移動を可能にするには,廊下や出入口の幅は80cm以上必要です.また,曲がる場所は角がとってあるとか,曲がりを連続させない等,移動の障害となる条件は避け,階段も傾斜を緩やかにする必要があります. - 手すりの設置
浴室や便所の中での行動を安全で容易にするために,手すりの設置は重要です.また,玄関等の上がり框の部分の段差では,靴の着脱時に片足で立つので手すりをつけたり,椅子を置くなどすると便利です.
しかし,手すりの高さや厚さ,形状等は,使い勝手に個人差があるので注意して,試してみることが必要です. - アプローチの容易さ
住宅の内外への出入りや,敷地の出入りに使う空間をアプローチといいますが,庭に出たり,外出したりすることは,自立した生活の可能性を拡大する意味で非常に重要です.段差解消機やホームエレベーター,緩やかなスロープ等によって車椅子での移動を可能にします.(MM)
Q. 最近,木炭の床下調湿材が注目されているようですが,いかがでしょうか?
A. これは,床下環境の湿度を低下させることによって,高湿度条件を好むカビや腐朽菌あるいはシロアリの発生を防ごうという意図で行われます.
実際の住宅について,木炭調湿材を敷設した場合と敷設しないケースについて,長期間にわたり床下気象環境を測定する実験が各地で行われました.その結果,地域性,住宅の構造,敷設方法などによって明らかな差異が観察されるときと,顕著な違いが認められない場合がありました.しかし,いずれにせよ,木炭を敷設してからの年経過とともに床下環境は改善されているのは事実です.
木炭は水を浄化するはたらきや脱臭作用をもっていますが,吸着性能は炭化温度によって大きく影響されます.床下調湿材としての木炭は,500~600℃で焼いたものが推奨されています.大きさは数mm~5mm程度のものが良いようです.
木炭は,最初の乾燥重量の10%あるいは報告によっては20%まで水分を吸着することが可能で,また,容易に放湿し,繰り返し吸湿と脱湿が可能であるという特徴をもっています.このことも住宅の床下環境の制御材料としての木炭が有利な点です.また,木炭の低い熱伝導率(約0.06Kcal・hr・℃)も,床下の結露防止に寄与しているといえます.(YI)
Q. 木は木材になっても生きていて,呼吸をしているし,水を吸ったり吐いたりしているけど,どこから呼吸をしていて水を吸ったりしているの教えてください.
A. 木材は伐採した後も,生きているように見えます.実際は死んでいますが,多くの人や書籍では文学的な表現で生きていると言っているのです.それは木材になっても水分の出入りがあり,それを呼吸と表現しているのです.本当に,炭酸ガスを吸って酸素を出したり,酸素を吸って炭酸ガスを出したりしているのではありません.
この水分の出入りのことですが,木には,虫眼鏡などで木口(こぐち)から見ると(年輪が見える方向)小さな穴があります.ここから主に湿気などの水分を吸収するのです.まわりが乾燥してくると,ここから吸い込んだ水分を吐き出します.板面にも小さな穴(道管)があるような木(ケヤキ,セン)だとここからも水分の吸い込みをします.道管がなくても板面からのゆっくりとした水分の出入りはあります. (KN)
Q. 鉄筋コンクリートの建物と,木造の建物それぞれの長所と短所を教えて下さい.
A. 鉄筋コンクリートの建物と言っても,戸建ての住宅と集合住宅があり,集合住宅においても最上階か中間階か西の端かといった住む位置によって異なってきます.一般に,コンクリート造は木造に比べて,熱容量が大きいことが大きな特徴です.したがいまして,温まりにくく冷めにくいので,そのことによるいろいろな長所短所があります.例えば,コンクリート造の最上階に住んでいると,真夏において昼間熱せられた屋上のコンクリートが夜になって外気温が下がってもなかなか冷めなくて寝苦しいということが起こります.クーラーをかけて室温を下げても天井からの放射熱でとても暑く寝苦しいのです.冬の寒いときに日向ぼっこをしていると太陽からの放射熱で暖かいのと同じ原理ですが,それが夏に起こったのでは体によくありません.これを「石焼イモ現象」といいます.石焼イモが熱せられた石からの放射熱で中までこんがりと焼き上がるのと同じように,人間もこんがりと焼き上げられたのではたまりません.最近ではこの現象を緩和するために,陸屋根の屋上の上にさらに屋根をつけて,かつ屋上換気をしたり,屋上緑化により植物からの蒸散熱で屋上の温度上昇を抑えたりする試みがあります.
コンクリート壁面の熱容量が大きいことで,午前中において,内壁面の温度がいつまでも低く,壁面温度が露点温度を下回ることになり,壁面結露が起こりやすい,延いてはカビが生えやすいといったことがあります.一方,室温の日変化はコンクリート造の方が小さいと言えます.
木造の方が水分に対する吸放湿性が大きいのではないかということが考えられますが,コンクリート造でも内装に木材を使ってあればあまり違いはないようで,意外にも天井裏などの小屋組みの木材もマクロにみれば室内の湿度変化に関与しています. (MM)