Q. 2×4工法と在来軸組工法の違いはどこにあるのですか?
A. 2×4(ツー・バイ・フォー)工法では,断面が2inch×4inch(実際は3.8cm×8.9cm)の軸材を45 cm間隔に配置し合板やP.B.(パーティクルボード)などの面材を釘打ちするのに対して,在来軸組工法では10.5cm角とか1 cm角の柱を1間(182cm)もしくは半間間隔に配し筋交や面材で耐力壁を形成するところに基本的な違いがあります.
その他のところでは,最近では軸組工法でも接合金物を,2×4工法と同様に継ぎ手や仕口を簡素化するために活用していますし,互いによく似てきています.(MM)
Q. 曲がりにくい木材と強い木材は違うのですか? 曲がりやすい木材でも太ければ丈夫になるのですか?
A. 強い材とは破壊しにくい材ということで,なかなか折れない材は強い材です.
曲がりにくい材は大抵折れにくいのですが,曲がりにくくても,たまに低い荷重で脆く(もろく)折れる場合があります.脆心材とか,強風で「もめ」の入った材,腐朽菌,特にブラウンロットの入った材などに見られます.
まあ一般には,曲がりにくい材は強いので,曲がり難さ(曲げヤング率)を測定することによって非破壊的に強度を予測することができ,等級分け(グレーディング)することができます.
曲がりやすい材でも,梁丈(はりたけ)が大きい,すなわち,梁の高さが大きいとたわみにくくなります.たわみにくさは,高さが2倍になると8倍になります(たわみが1/8になる).しかし幅が2倍になってもたわみは1/2にしかなりません.(MM)
Q. KD材とは何ですか?
A. 乾燥された製材品(板材や角材)のことです.
KDはKiln Dryの略で,乾燥機で含水率25%以下に乾燥させた木材をさしますが,日本農林規格(JAS)では,25%以下,20%以下および15%以下の三種類に区分されます.
従来の木造住宅の建築では,製材して十分乾燥しない状態の木材が使用されてきましたが,近年,強度や寸法精度の高い構造用材料への要求が高まりつつあり,変形や寸法変化の少ないKD材が普及しつつあります.(YF)
Q. 継ぎ手・仕口とはなんですか?
A. 柱や梁,桁や土台など住宅の構造部材の接合部の総称です.部材の一部を独特の形状に削りだし,相互に組み合わせて結合します.
角材を長手方向に結合する場合を継ぎ手,直角または斜めに結合する場合を仕口といい,前者にはあり継ぎ,かま継ぎや段継ぎなどが,後者には下げかま,かたぎ大入れや種々のほぞ差しがあります.
ほぞとは部材の単部に設けた突起部をさし,これを相手側の材に設けたほぞ穴に差し込んで結合します(ちなみにほぞとは古語でへそのことです).
住宅部材の継ぎ手・仕口加工は,これまで大工さんが下小屋で手作業や電動工具を用いて行っていましたが,最近ではCADによって設計したデータを用いて,専用機械で自動的に加工するプレカット加工が主流になりつつあります.(YF)
Q. コンクリート型枠用合板の品質表示が以前の「2種」から「B-C」などの表示になったようですが,どのように変わったのですか?
A. コンクリート型枠用合板のJAS(日本農林規格)では,コンクリート表面の仕上がり品質等に配慮し,表面及び裏面の単板(合板を構成する1枚1枚の薄板)の品質を規定しています.
従来の規格では,主に「打ち放し仕上げ」や「じか仕上げ」をするコンクリートの型枠用及び塗装型枠など表面に塗装又はオーバーレイを施した表面加工品を「1種」,それ以外のものを「2種」として区分し,各々表裏の板面品質を規定していましたが,針葉樹原料への対応などのため平成9年9月5日から改正施行された新規格では,単板を品質によりa~d(aが最も欠点が少ない)の4階級に分類し,その表裏の組み合わせにより,A-A(表面a単板-裏面a単板)~C-D(表面c単板-裏面d単板)の9種類(表面はc以上,裏面はd以上)の板面品質基準が設けられています.
現状の生産実態では,従来の2種に相当したものはB-C,1種に相当したものはA-BあるいはA-Cの格付に移行しているのが一般的なようです.
ただし,表面加工品には上記のような基準は設けておらず,表面加工の品質を規定.裏面については上記単板品質のd以上としています.
なお,平成9年のJAS改正では,上記の板面の品質基準の改正の他,諸情勢の変化に対応し,主として以下のような事項についても併せて改正されています.
- 曲げ剛性試験の基準変更等
幅方向スパン用」の表示をするものについて,幅方向用の基準を追加.基準については,従来のたわみ量による基準から,曲げヤング係数による基準に変更しています(例えば,厚さ12mmの場合の長さ方向で,70×103kgf/cm2).また,これに伴い単板厚さ,積層数,構成比率などの基準が緩和されています. - 規定寸法の廃止
厚さ(12mmから3mm間隔で24mmまでの5種類),幅及び長さ(6種類)について,従来規定寸法として他の寸法を認めなかったのを,標準寸法として他の寸法でも認めることとしています(ただし,厚さは12mm以上). - 表示事項にホルムアルデヒド放散量を追加
普通合板のJASに準じ,ホルムアルデヒド放散量の表示(F1,F2等)が可能となっています(任意表示事項).
板面の品質基準の詳細や改正の概要については,財団法人日本合板検査会,日本合板工業組合連合会,日本合板商業組合の3者により,詳しいパンフレットが作成されています.(HY)
Q. 住宅性能表示制度について教えてください.
A. 建設省が2000年に導入の準備を進めている「住宅性能表示制度」は,一般消費者の合理的な住宅選択を支援するのが目的です.
表示はあくまで任意であり義務ではありませんが,工法や業態にかかわりなく消費者が判断できる共通ルールとして運用されるものです.それだけに,工務店としても得意な項目については積極的に表示していく姿勢が望まれます.
このほど木造住宅の性能に関する表示項目,表示方法,及び評価方法のイメージが明らかになりました.
表示項目としてあげられたのは,
- 構造安全性(上部構造)
- 構造安全性(基礎・地盤)
- 防耐火性
- 避難安全性
- 省エネルギー(暖冷房)
- 採光・通風換気性
- 遮音性能
- 耐久性(主要構造部)
- 維持管理容易性
- 長寿社会対応
- 機能性
の11項目です.
当初消費者団体が要望した440項目を建設省や学識経験者が76項目に絞り込み,さらに検討を加えた結果,11項目となったものです.項目によっては,言葉の定義を説明するマニュアルの整備や評価の判断基準となる数値の確定といった検討課題が残されています.(MM)
Q. 柱材などに背割りを入れてますが,そのことによって強度はどの程度低下するのでしょうか?
A. 105mm角の柱に平均7.5mmの背割りがあると仮定すると,背割りなしに比べ圧縮力・引っ張り力・せん断力で3.6%,曲げ強度で2.3~3.6%の剛性低下が考えられます.(KA)
Q. 最近,我が家を新築しようと思って,あちこちの住宅展示場を回っています.ただ,どこへ行っても,いまいち決め手がありません.どこか信頼できる優秀なハウスメーカーを紹介してください.
A. どこといわれても,具体的にお答えすることはできません.
週末に,一度,図書館にでも行ってみてはいかがですか.あなたのような問題に直面する人が多いのか,住宅建築のための一般誌は結構たくさんありますよ.比較検討のための材料が手に入るかもしれません.
例えば,扶桑社から出版されている月刊雑誌「新しい住まいの設計」などでは,各メーカーの特徴や最新情報,各社の製品を比較した特集などが掲載されています.(MI)
Q. 流通面で,産直方式がこのごろ流行りつつありますね.「総檜づくり」「総青ヒバづくり」「総杉づくり」などでは,丸太の段階で購入し,設計図を基に製材し,現場に搬入するとも言われていますが,建築主からみて丸太買いのメリット,デメリットはどういうものでしょうか?
A. 結論的にはデメリットばかりです.丸太で購入するということはそれで建てた家のクレームについては施主が責任を持つことになり,建てた工務店との間で責任の所在がはっきりしません.また,製材された材料を購入する方がかえって安くつきます.住宅が二千万円としたとき,現在の平均的な家であればそのうち木材代金は100万円ぐらいしかありません.ゆえに,この100万円のためにこだわるのかということになります.
昔でしたら住宅の費用の材料のほとんどを木材が占めていましたので,こういうやり方もメリットがあったかもしれませんが,現在では余程凝った家でない限りメリットはありません. (KN)
Q. もや(母屋)についてお尋ねしたいのですが,現在大屋根の家を建築中の施主です.設計士さんに設計をお願いし,同市内の工務店に建築を依頼しています.大屋根を支える母屋が15×20センチの角材なのですが,その母屋約20本が,破風板より10センチほど突き出ております.他の人から腐るといわれていますが,本当でしょうか?もし腐るとしたら,どのような工事をしたらよいのでしょうか?
A. 母屋が破風・鼻隠より突き出ているというのはあまりないことで,デザイン上そうなったのだと思うのですが,腐る腐らないは一番に木の種類によります.防腐剤が加圧注入されている木材,または腐りにくい木材だと,幾分安心です.また,雨がかかっても直ぐに乾燥するような使い方をしていれば,よいのですが. (KN)
Q. 海外と日本の家を比べると,日本の家はすごく高いのですがなぜでしょうか? 日本は土地が狭いので土地が高いのはわかります.でも,家は20~30年しかもたないのに,なぜこんなに価格は高いのでしょうか? 以前,TVでスウェーデンの家をみたのですが,すごく広い土地と家で,価格が800万円弱でした.私は2×4か2×6の家を造りたいと思っているのですがランバーが高いのでしょうか? それとも,家をつくる技術料が高いのでしょうか? 日本では高くていいもの,が当たり前ですが,私は安くていいものを作りたいと思っています.自分でDIYできるところは,やりたいと思います.
A. 日本の家は高いの件ですが,ひとくちでは説明しにくいてす.
- あえていえば,建設システムが異なるのです.今ではどんな方法でも高くならざるを得ません.安い輸入住宅で建てようとしても結局そんなに安くはなりません.こちらのシステムではいろいろな業者がいて,効率が悪いのです.
- また,お客さまの注文が細かいことまで言われるので,きちんとした仕事をしなければならないのです.アメリカの住宅など,荒っぽいものです.
- 人件費が高いのも原因のひとつです.
- 木材が高いということはありません.大阪で4000万で販売されている住宅ですと木材業者が工務店に納める木材代金は150万ぐらいです.
- お考えのようにご自分でやるのが一番ですが現実には難しいと思います. (KN)
Q. 通常の木造住宅の建築期間からみて,住宅建設用の木材(国産材)の含水率はどれくらいが理想的なのでしょうか?
A. その木材の周りの湿度により木材が安定する含水率(平衡含水率)になりますので室内で使う場合は10%から15%,室外で使う場合とか構造材であれば15%から20%ぐらいです. (KN)
Q. 木材の含水率が高い場合の対処方法は人工乾燥がメインかと思いますが,通常,製材所ではその設備を併設しているものなのでしょうか? また,たとえば住宅1棟分(40坪と仮定)で乾燥期間と費用はどれくらいでしょうか?
A. 大規模製材所などでは最近設備を持っているところが増えてきましたが,通常は設備を置いているところは少ないです.住宅1棟の材料だけを人工乾燥するということであれば無理です.人工乾燥する場合は同じサイズの物ばかりを一旦桟組みして2ケ月ぐらい天然乾燥してから乾燥室に約1週間ぐらい入れますが,柱ばっかりをまとめて一度に乾燥させるとかの設備ですので,小口の対応はできません.
もし柱は柱で人工乾燥したところから購入し,梁は梁で別の製材所から人工乾燥したものを購入するということであれば,人工乾燥したものを手に入れるわけですから,期間はなしになります.費用は約15,000円/m3ですからもし20m3の木材を家一軒に使うとすると30万円のアップになります. (KN)
Q. 木造住宅の柱に使う樹種は,地域によって異なると聞いていますが,具体的には,どの様な樹種が使われているのでしょうか?
A. 在来工法の木造住宅の柱には通し柱,管柱,間柱があります.通し柱と管柱は構造材ですが,これらの間に立てる間柱は壁材料を支える下地材と考える方がよいでしょう.通し柱と管柱は,一般に軽くて強く,通直な長い材が得られる針葉樹材を使います.全国的にみてヒノキ,スギ,ベイツガなど使うことが多いようですが,地域によってはヒバ,カラマツ,エゾマツ(とくに北海道)などが好まれることがあります.このほか,現在では無垢材より品質が安定している集成材(集成柱)も使われています.集成柱には最近ではスギ,スプルース(ホワイトウッド)が約7割を占め,そのほか各種の内外産針葉樹材を使っています.和風建築では材の装飾性も同時に重視するので,柱材として木肌の美しい木を使いますが,ヒノキ,スギなどの化粧単板などの貼った集成柱も使います.間柱にはスギ,ベイツガ,マツ類などを使います.
このほか柱としては,一部の住宅にみられる大黒柱にはケヤキなどのような重硬な材を使います.また床柱は全くの装飾材で,強度には関係なく装飾性が高いスギの磨き丸太や銘木類を使います. (TS)
Q. 2×4工法と木質パネル工法の違いは何ですか?
A. 2×4(ツーバイフォー)工法は枠組工法とも言い,2インチ×4インチ(実際は3.8cm×8.9cm)の軸材を芯々45cm間隔に配置し合板やパーティクルボードなどの面材を釘打ちして張り,この壁面で上下方向の荷重や,地震・台風によるせん断力(ひし形に変形させようとする力)に抵抗させる住宅建設工法である.一方,木質パネル工法は木質プレハブ工法とも言われ壁組や床組などの構造耐力要素(パネル)を予め工場で生産し,施工現場で組立てる工法である.工場でパネルを作る際,枠組(や桟木)と面材(合板など)を釘打ちではなく接着するところに特徴がある.断熱材もこの際入れてパネル化する.パネル化すると施工現場での作業が少なくなる.最近では,2×4工法においても,工場で枠組と面材を予め釘打ちしてパネル化しておき,施工現場での省力化が図られている場合が多い. (MM)
Q. 品確法で 耐震等級2級とか1級とかがあるそうですが,どのように違うのですか?どちらが上なのですか?
A. 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」略して品確法の性能表示関連告示が2001年7月に発表されました.これによると,建築基準法で要求している住宅が満たすべき耐震性をもつものを耐震等級1,その1.25倍の耐力を有するものを耐震等級2,1.5倍の耐力を有するものを耐震等級3と決めています.ちなみに,台風等級では建築基準法で要求している耐力の1.2倍以上あるものを台風等級2と定めています.等級の数が大きいほど耐力が大きいことを示しています. (MM)
Q. 木造住宅でプレカット率が上昇していると言われていますが,どうしてなのでしょうか?
A. 神戸の大震災後の復興のときにこの地区において一気にプレカット率が上昇したのがよい例ですが,工場で前もって継手や仕口のプレカットを行なうことにより,建設現場での作業量が少なくて済みますから,人手を省くことが出来,また,工期も短縮できます.震災後のように,早く建てないといけない,また,人手が足りないところでは,プレカットは不可欠だったことが容易に理解できますね.この他,工場で精度よく高速で機械加工することができ,省力化できるとともに,建設現場に加工の熟練工がいなくてもよいなどのメリットがあります. (MM)
Q. 住宅の耐震性はどのように計算するのでしょうか? 家が地震や台風に対して大丈夫かどうか心配なのですが,素人でもわかりますか?
A. いわゆる壁率計算を行なうことによって風や地震に対する耐力を概算することができます.木ずり壁や木舞土壁は0.5,石膏ボード釘打ち1.0,柱半割筋かい2.0,構造用合板釘打ち2.5 といったように耐力壁の種類によって壁倍率が求められています.これらの耐力壁それぞれの長さ(何m)とそれぞれの壁倍率を掛け合わせたものの合計を求めるとその家の地震や台風に対する耐力が分かります.一方,家の床面積が分かれば,その家の大体の質量(重量)がわかります.質量がわかれば地震時に壁が受ける力がわかります.地震時に受ける力に対して,それに耐える力(有効壁長あるいは存在壁量ともいう)が十分にあればよいわけです.壁率すなわち,有効壁長/床面積 を求めれば家の耐力と地震力との比がわかります.これが大きければ耐力が大きいということになります.この壁率がいくら以上あればよいかは,建築基準法施行令で定められています.例えば,瓦葺屋根の2階建の建物では,1階の壁率は0.33(m/m)以上なければならないといったように定められており,桁行方向,梁間方向それぞれの揺れについて検討します.ちなみに2階の壁率は0.21(m/m)以上でよいのです.1階の壁には,1・2階両方足した質量に対して地震の加速度が作用するためです.1階の方が2階よりも丈夫にしないと,つぶれやすいのです.
台風に対して大丈夫かどうかの検討のための壁率は,有効壁長/見付面積 で求まり,0.5(m/m)以上あればO.K.となります.見付面積とは,桁行方向,梁間方向の風それぞれに対する受圧面積(床面から3.5m以上の壁面積)のことです. (MM)
Q. 今回改正された建築基準法では木材についても鉄などと同じように基準強度という概念が導入されましたが,従来の許容応力度との関係はどのようになっているのでしょうか?また,許容応力度に長期とか短期とかがありますがなぜですか?
A. 基準強度は樹種や等級で分けられた材種の強度の下限値(5%下限値)を示しています.設計に用いる許容応力度には短期荷重(地震力,風圧力など)に対する短期許容応力度と長期荷重(屋根荷重のような固定荷重や家具などの積載荷重)に対する長期許容応力度があります.長期の荷重に対しては,時間とともに変形がじわじわと増加するクリープ変形が生じるため木材の耐力が小さくなります.短期許容応力度は基準強度の2/3倍した値です.これは荷重をかけた後,もとに戻るには強度の2/3程度の値までの力(比例限)にとどめるべきだとの考えからです.長期許容応力度は基準強度の1.1/3倍です.これは50年間荷重が掛かりっぱなしでも大丈夫なように定めた許容応力値です.3ヶ月程度の長期の積雪に対しては基準強度の1.43/3倍した値を,また,3日程度の短期の積雪に対しては基準強度の1.60/3倍した値を許容応力度として用いることと規定されています. (MM)
Q. 今回改正された建築基準法では,並列材とか木材強度の寸法効果とかいうものが出てきますが,これらは何ですか?
A. 2000年6月に施行された改正建築基準法では木材の許容応力度は基準強度をもとに荷重継続時間に関わる係数を掛けるなどして算出する形をとっています.断面の大きな材は大きな欠陥をもつ可能性が高く,断面積に応じて基準強度が少しずつ異なります.このことを考慮して断面寸法による調整係数を基準強度の表とともに示すことにしています.
並列材とは,例えば床根太は並列に何本かが並んで同一面材に釘打ちされたりします.この場合,もしどれか1本の根太が少し弱いとき,並列する根太が少しカバーしてくれるといった効果が期待できます.そのため並列材の集合としての総合的強度の下限値は個々の下限値より大きくなります.このことを考慮して,面材をはられた並列材の曲げの基準強度を1.15倍あるいは1.25倍することになっています. (MM)
Q. 「古材バンクの会」って何ですか?
A. 貴重な木造建築の保存と再生を促進するとともに,保存がかなわず消失しようとする古い木造建築部材(古材)を資源として再利用していくための社会システムを作る目的で,1994年に設立された全国的なネットワークです.会員数は全国に300余名.情報誌『古材バンク通信』(隔月刊)を発行しています.
主な活動は,1.古材の提供者と利用者をつなぎ活用を促進する,2.伝統的木造建築文化と建築技能の継承と発展を図る,3.資源を大切にする社会の実現を目指すの三つです.「利用相談部会」と「調査部会」があり,前者では,古い民家を再生したいという住い手に,建築士・工務店などの専門家が相談に応じ,必要によって設計施工に関わる工務店を紹介しており,後者では,民家や木造建築の研究者,そして家や木材について学ぼうとする市民が集まり,提供の申し出があった木造建築の調査を行っています.また,『古材バンクストックヤード』に,良質古材を集積し,活用の機会を図っており,その他,木造建築とその住まいを通しての文化・町並みに親しんでいただくための見学会,講習会,シンポジウムなどの行事も開催しています. (MI)
参考文献
http://www.kyoto.zaq.ne.jp/araki/kbank.htm
http://hb6.seikyou.ne.jp/home/kyoto-net/kbank.htm
Q. なぜ木材の乾燥が必要なのですか?そのメリットは何ですか?
A. 木材は乾燥すると寸法が縮む性質があります.私たちが生活する住宅では,新築後まもなく柱と鴨居,柱と敷居の接合部分に隙間が生じたり,板張り壁の継ぎ目が透いたり段差ができたりします.きれいな柱面に割れも出たりします.また,建築後しばらくすると,釘や接着剤で留められている床材や階段の踏み板がずれて,歩くたびに床鳴りがしたり,さらに時間が経過すると,ドアやふすまなど建具類の開閉時にきしみを生じ,壁面のクロスに亀裂が入ることもあります.さらに,木材中の水分(多くの場合,弱酸性から強酸性の範囲を示す)で構造強度を保持する緊結金具を腐食させることも報告されています.これらのトラブルの多くは,木材中の水分および乾燥に伴う寸法変化に原因します.
昔は建築に多くの時間を費やしていたため,建築中に木材が乾燥していました.したがって,乾燥による寸法変化は建築中に修正できたため問題は発生しませんでした.近年は建築部材のプレカット化や合板やボード類による乾式工法によって建築工期が著しく短縮されたため,木材は未乾燥なまま建築が完了し,入居後に乾燥によって前述のトラブルが生じてきます.消費者からのクレームがあまりにも多いと,在来工法の木造住宅に対するイメージは大きく低下します.
製材業界が十分に乾燥された木材を流通させることによって,住宅のトラブルやクレームは減少し,木造住宅の信頼性回復と着工数増大,ひいては国産材需要の拡大につながります. (YT)