説明
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良質の銘木は本来なかなか手に入らない貴重な材料です.一方,人工銘木は安定入手できる天然木を使って人工的に天然銘木の味わいを再現した木材加工製品で,次のような特徴を備えています.
- 単板の欠点(割れ,節,変色他)を予め除去した材を用いるので,天然木のそれと比較にならないほど高い歩留(95%以上)が得られます.
- 色柄が均一になります.天然木では木目や色が原木1本1本で異なりますが,人工銘木では同一仕様で作ったものはほぼ一定しています.
- 樹齢1000年の樹木から得られるような木目も短期間で再現します.
- 天然木を再現した柄(広葉樹材,針葉樹材)はもちろん,天然の木目模様にはあり得ないデザイン柄も表現できます.
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原料と製法
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人工銘木の製造工程 (パナソニック松下電工(株)カタログより)
- 人工銘木の材料には,ヤニ,節などの欠点が少なく,晩材(冬目)の目立たない大径木で,しかも供給の安定している樹種が選ばれます.この原木をロータリレースなどで剥いて単板とします.
- 狙いの銘木にマッチするように単板を脱色そして染色します.脱色剤には過酸化水素,次亜塩素酸ナトリウムなどが使用されます.染料には主に酸性染料,直接染料などが使用されます.単板の染色には,浸せき法,減圧加圧法,塗布法が用いられます.
- 脱色・染色された単板に木目や縞模様を形成する材料(厚みの薄い染色単板,着色不織布など)を組合わせて,色付きまたは無着色の接着剤を塗布します.木目模様を表現するための型の間に材料を積層し,圧締接着してフリッチ化します.
- 出来上がったフリッチをスライスして,銘木単板とします.

人工銘木フリッチの例 (パナソニック松下電工(株)カタログより)
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用途
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- 表面化粧材料:スライスした単板を合板に貼り合わせて塗装したものが,人工銘木化粧合板です.貴重な天然銘木の味わいを再現した人工銘木化粧合板には次のような特徴があります.
- 天然木の良さと風合いを兼ね備えています.
- 天然銘木同様,吸放湿性があり年月の経過とともに色合いが深まる味わいを備えており,柱や造作部材と調和します.

天井材に人工銘木化粧合板を使用した和室 (パナソニック松下電工(株)カタログより)
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