木酢液はどんな効果があるのですか?
木炭を焼きますと,出発重量の約1/3の割合で木酢液が得られます.炭焼きの時に発生する煙は,木材の熱分解によって生じるガスを含んだ水蒸気ですが,この煙を冷却すると凝縮されて液状の木酢液となって出てきます.
木酢液には,酢酸に代表される酸類や,アルコール類,フェノール類,アルデヒドやエステルなどの中性物質など約200種類以上の数多くの化合物が含まれていますが,主要な成分は約50種類程度です.木酢液は,原材料や製造方法,炭化の温度によっても性状が異なるといわれています.
木酢液は,食品加工用の燻液,土壌改良剤,植物活性剤,消臭剤,除草剤など広い用途に展開がはかられています.
木酢液は植物の発芽と成長を促進するはたらきがありますが,ただ,成分の中には逆に阻害するものも含まれています.そのためには,静置などの精製操作によって阻害成分となるピッチやタール,フェノール成分を少なくすることが必要です.また,適切な施用濃度と量に注意する必要があります.葉面散布する場合は薄めにして,土壌に散布する場合には少し濃いめにするとよいでしょう.
木酢液の抗菌作用も注目されており,灰色カビ病,白サビ病,べと病などの植物の病気や,ハダニ,アブラムシ,カイガラムシなどの害虫,あるいは土壌線虫にも効果があることが知られています.これらに対しては,20~200倍程度に薄めて散布するとよいでしょう.木酢液の特有のにおいには,ムカデ,モグラ,ネコなどの小動物を忌避させる効果があるともいわれています.ただし,散布した付近は独特のにおいがすることを覚悟しなければなりません.
木酢液については,性能を安定させるための規格も整備されてきていますが,含まれる成分の種類が多いうえ,原料や炭化方法あるいは保存状態によってもその組成は変化しやすいものです.いずれにせよ漢方薬的なファジーさを含んでいると考えるといいでしょう.(YI)