木材に穴を開け,粉を出して加害するヒラタキクイムシについて教えて下さい.
ヒラタキクイムシの成虫は,普通5~7月に被害材の表面に直径約2mmの円形の穴を開け,木の粉を排出して脱出します.雌は交尾したあと乾燥した木材の表面に現れた道管の中に産卵管を差し込み卵を産みます.ふ化した幼虫は孔道を開けて進みながら木材を食害して成長します.秋に成長した幼虫は,材の表面近くにきて冬を越し,春にサナギになります.サナギは1~3週間で褐色の羽化した成虫となり木材から脱出します.これがヒラタキクイムシの1世代,すなわち1年です.
ヒラタキクイムシの加害される木材は,まず栄養となるデンプンを多く含んでいること(ですから辺材のみ加害対象となる),産卵管が差し込める大きさの道管をもっていること(したがって,ラワン,チーク,カシ類,ナラ類,ケヤキ,竹類が加害され,針葉樹材は原則的に加害されない),乾燥していること(含水率は16%前後が最適とされる)が条件となります.
被害の予防法としては,防虫薬剤の塗布・吹き付け,加圧注入,接着剤への混入処理が行われています.塗装は産卵の穴となる道管をきっちり充填するように行えば効果がありますが,見えない面も含めて塗装しなければ意味がありません.また,十分な熱処理は,材中の虫を殺す効果的な方法ですが,これは予防法ではないため,温度が下がれば再度加害される可能性がでてきます.(YI)