広葉樹の人工林は出来ないのですか?
人工林は用材の生産を目的としたものがその造林面積の大部分を占め,そのほかには砂防林・防風林等特別の用途を目的として造林されるものがあります.
日本の主な造林樹種はスギ,ヒノキ,アカマツ,クロマツ,カラマツ,トドマツ,エゾマツ等の針葉樹が多くあります.針葉樹の人工林が多いのは,針葉樹は広葉樹に比べ幹が通直で枝が少なく,林分あたりの幹材積の収量が多いからです.広葉樹としてはケヤキ,クスノキの人工林はありますが,日本での広葉樹人工林はきわめて少ないのが現状です.
近年では木材の加工技術が発達したので広葉樹も合板など加工材として多用されるようになりました.
しかし,加工技術が発達する以前の広葉樹の用途は薪炭材及び工芸品への用途が主であったため,需要が少ないこと,広葉樹は萌芽能力(切り株から芽が出ること)が高く二次林が構成されるのでわざわざ手間をかけて植林を行う必要がなかったこと,等の理由のため,育林技術が発達せず,施業方法が確立していません.このため,需要が増している今日でも,広葉樹の人工造林が行われるのはきわめて少ない例です.(JY,RK)