木材を日光や雨のかかるところに置いておくと,色が変わったり表面が粗くなってきます.どうしてですか?
木材はその化学構造から非常によく太陽光を吸収する物質です.しかし化学成分によって吸収する光の波長が異なり,セルロースは太陽光に対して比較的安定ですが,リグニンや抽出成分は紫外線を吸収しやすい構造をもっています.リグニンは光分解反応によって低分子化し,その多くは水に溶ける形になります.そのため雨水によって容易に木材表面から溶けだし,それによってさらに内部も光分解を受けることになります.
結果として柔らかい早材部分を中心に分解が生じ,洗い出したように表面が粗くなってきます.これを風化と呼んでいますが,針葉樹の早材部の風化速度は100年間でおよそ5mm程度といわれています.また,風によって運ばれる砂や塵などによっても木材表面は傷つくため,海岸部の住宅の下見板などは大きな風化を受けます.
屋外に置かれた木材は,初期の段階では濃色の材は明色化し,淡色の材は暗色化する傾向にあります.その後,薄い灰色からカビの付着による黒色のシミが発生し,これが増加して最終的には全ての木材は樹種に関係なく暗灰色化してきます.塗装は木材の耐候性を向上させますが,透明系の塗料は紫外線を通過させるために顔料を含んだものに比較して塗膜劣化を起こしやすいといえます.(YI)