先日,本屋で,木材関係の本を買いました.今まで知らなかった木の不思議が紹介されていておもしろかったです.でも,専門用語が分からないのです.ちょっとづつでも勉強したいと思っています.ちなみに,セルロース,リグニン,ヘミセルロースってなんですか.できたら簡単に教えて下さい.
いくつかの大学には,農学部の中に,木材を専門に扱う領域があります.本当に興味があるのなら,大学進学の際には是非検討してみて下さい.
それでは,質問にお答えします.
- セルロース
セルロースは,自然界に最も多く存在する有機物ですが,糖(グルコース)が1万から1万5千個も直列につながってできた長い繊維状の分子なのです.これを化学の言葉で言えば,「グルコースが脱水縮合によって生じた線状化合物(高分子多糖)」となります.セルロースは木材の引っ張りに対する強さやしなやかさを担っています.ここで,グルコースとは,炭素原子5個と酸素原子1個からなる六角形の骨組みに4個の水酸基(-OH)と1個のオキシメチレン基(-CH2-OH)がくっついたもので,このグルコースの特定の2個の水酸基を使って,六角形の板が一枚ごとに裏返しになるようにつなげる(脱水縮合する:β1-4結合)とセルロースができます.これに対し,グルコース(六角形の板)をすべて同じ方向につなげる(α1-4結合)とデンプンができます.私たち人間は,α1-4結合を分解する酵素を持っていますので,デンプンを消化することができ,デンプンは食料となります.しかし,セルロース(β1-4結合)は分解できないので,人間にとって栄養価値はないのです.それでは,なぜ,シロアリは木材を食べられるのでしょうか? 彼らの腸の中には,セルロースを分解する微生物が共生しています.その助けによって,木材を栄養素として利用することができるのです.
- リグニン
リグニンは,ベンゼン環と炭素原子3個からなる鎖が基本構造で,これらは複雑な三次元の網目構造を持っています.リグニンは,木材のかたさや曲げに対する強さを担っています.木材が草と違ってかたいのは,細胞壁にリグニンが詰め込まれているからです.さらに,細胞と細胞を強固に接着しているのもリグニンの役目です.リグニンが細胞壁と中間層に供給されることを「木化」を呼んでいます.
- ヘミセルロース
ヘミセルロースは,基本的にはセルロースに似た物質です.ただ,縮合する部分がセルロースと違うところがあるので,枝分かれしています.鎖がつながる長さもセルロースに比べると短く,また,グルコースだけでなく,数種の異なる単糖によって構成されています.半分(ヘミ)くらいセルロースの構造や性質を持っているのでヘミセルロースと名付けられたようです.ヘミセルロースは,セルロースとリグニンを結びつける役目を担っています.
もっと詳しく知りたいのでしたら,また,連絡して下さい.待っています.(MI)