スギ柱材を人工乾燥するために乾燥機の購入を考えていますが,装置を選ぶ場合どのような点に注意が必要ですか?
乾燥機を製造している業界において現在まだ共通する機械性能の基準はできていません.したがって販売されている乾燥機・装置には諸性能にかなりの差があることが予想されます.
そこで,最低これだけの性能は保持されるべきであるという項目を以下に示しますから,機械を選定をするときの参考にしてください.
[1]乾燥機内の温度,湿度を設定値に調整でき,風速の分布が均一であること.
乾燥中に機内の温度と湿度が設定値に正確に設定でき,かつこの温度と湿度を機内全体にわたって均一に分布させるための風が必要です.もし風の強さにむらがあれば,乾燥機内の場所によって木材の最終含水率にばらつきが大きく,良好な乾燥仕上がりにはなりません.
[2]高温,高湿,酸性ガスに対して装置が耐久性に優れていること.
乾燥中装置は高温度,高湿度で,しかも木材から蒸散する強酸性の空気に長時間暴露されるため,壁体,モータ,配管,配線等に高耐久性の配慮がされていなければなりません.
[3]気密性や断熱性に優れていること.
高温による熱膨張で扉などが変形して気密性が低下したり,壁体の断熱性が低いために熱流出が大きいなど,機内からの熱エネルギーの流出防止のために高気密・高断熱性の構造になっているか配慮しなければなりません.
[4]ランニングコストと維持コストが安いこと.
ランニングコストに熱源コストの占める割合が高く,安価な加熱方法を採用していなければなりません.また,機械から出る騒音や煤煙などが周辺の住民に害を及ばさないような配慮がなされていなければなりません.
[5]保守管理や修繕が容易にできること.
小さな故障は近所の電気工事店や鉄工所等で修繕できることが望まれる.
[6]メンテナンスサービスや技術指導が充実していること.
乾燥機を導入している工場で最も多い苦情がメーカーのメンテナンスサービスが悪いことです.また乾燥がうまくいかない場合,乾燥スケジュールの変更等にも適切に対応できる技術指導の充実も必要です.
[7]安全性が高い.
機械の異常運転,火災の危険等安全性に十分配慮された設計になっていることが必要です.
[8]できれば自動運転が望ましい.
温度,湿度などを自動制御して運転できること.現在多くの機種がコンピュータによる自動運転機能を有しています.
なお,乾燥機を導入するにあたり,まず自社が主として乾燥する木材をメーカーに試験乾燥を依頼し,乾燥データを検討して,適切な機種であるか否かを判断してください.またすでに納入している工場に機械の性能を確かめて,判断資料を多く収集してください.
もしこれらのことができなければ,少なくとも近くの公設試験研究機関に相談することをお薦めします.
(YT)