「ISO14000シリーズ」って何ですか?
ISO14000シリーズは,ISO14001という環境マネジメントシステム(EMS: Environment Management System)に関する規格とそれに付随するガイドライン等の総称のことです.ISO 14001の認証を取得した企業は,環境負荷の少ない企業経営を実現するためのマネジメントシステムを確立しているということが保証されます.ISO14001はプロセス基準またはシステム基準と呼ばれていて,環境マネジメントの結果がどうかということよりも,その企業が定めた目標を達成するための経営システムが確立されているかどうかが審査対象となります.システムについての認証システムであるため,製造業だけでなく林業を含むありとあらゆる業種で認証取得が可能です.それに対してFSCの森林認証制度は,パフォーマンス基準と呼ばれ,経営システムよりも,定められた目標が達成されているかどうかという結果の方が主な審査対象となります.
ISO14001は,「組織の継続的な環境保全のための仕組み(環境マネジメントシステム)」に対する要求事項を規格化したもので,この要求事項は,大きく「環境保全のための仕組み」と「環境保全を継続的に効果的に進めるための経営の仕組み」に大別されています.
「環境保全のための仕組み」は,その組織の持つ重大な環境影響の特定,環境方針と目標・実現計画の設定,法規制の特定と遵守方法の設定,必要な場合には手順書による維持管理方法の確立,及びこれらの実施,監視が要求されています.また,「環境保全を継続的に効果的に進めるための経営の仕組み」は,環境保全組織とその責任・権限の明確化,必要な認識・訓練・能力づけのための教育制度の設定,文書体系の構築,文書・記録類の管理,問題発生時の是正処置実施,定期的な経営層による見直し,などが規定されています.森林管理の分野ではISOとFSCが良く比較されますが,ISOの方が文書整備を緻密に行う必要があると言われています.
(シンクタンク勤務・DM)
※ISOは,International Standards Organization(国際標準化機構)の略.ISOは国別の規格管理機構の国際的な連合体で,工業製品などについて世界統一の規格を定めているが,14000シリーズ(環境マネジメントシステム)の他,9000シリーズ(品質管理システム)など,経営システムについての規格も定めている.