炭酸ガス(二酸化炭素)が増えるとなぜ地球が温暖化するのですか?
地球大気は,窒素,酸素,アルゴンガスなどの準定常成分と,水蒸気,二酸化炭素,メタン,フロン類などの微量な変動成分で構成されています.これらは,太陽からの日射エネルギーに対してほぼ透明なので,日射は大気層を透過し,地球表面を暖めたり,光合成作用に使われます.暖められた地球表面からは,その温度に応じて,赤外線エネルギーが外部へ放射(赤外放射)されます.この時,大気中の準定常成分は,赤外線に対してもほぼ透明です.しかし,熱力学的にアクティブな変動成分は,赤外線エネルギーを吸収,再放出するため,地球からの赤外放射の一部を遮断します.このような気体は,ちょうど温室のガラスのように働くので,温室効果ガス(赤外放射活性気体)と呼ばれています.大気中での温室効果ガスの濃度が上昇すると,大気の恒常的な温室効果を増大させるので,地球の気候変動(地球温暖化)を引き起こす原因となります.
(MI)
参考文献
鈴木英夫:「地球環境を考える」(渡辺 正編), p. 61, 丸善 (1996)
内嶋善兵衛:「地球温暖化とその影響 -生態系・農業・人間社会-」, 常華房 (1997)
福岡克也:「地球環境保全戦略」, 有斐閣 (1995)
環境庁: EICネットホームページ(http://www.eic.or.jp )(1998)
ワーキング・グループ: 大気汚染の現状と温暖化, 化学工学, 54 (1), 8-12 (1990)