今回改正された建築基準法では木材についても鉄などと同じように基準強度という概念が導入されましたが,従来の許容応力度との関係はどのようになっているのでしょうか?また,許容応力度に長期とか短期とかがありますがなぜですか?
基準強度は樹種や等級で分けられた材種の強度の下限値(5%下限値)を示しています.設計に用いる許容応力度には短期荷重(地震力,風圧力など)に対する短期許容応力度と長期荷重(屋根荷重のような固定荷重や家具などの積載荷重)に対する長期許容応力度があります.長期の荷重に対しては,時間とともに変形がじわじわと増加するクリープ変形が生じるため木材の耐力が小さくなります.短期許容応力度は基準強度の2/3倍した値です.これは荷重をかけた後,もとに戻るには強度の2/3程度の値までの力(比例限)にとどめるべきだとの考えからです.長期許容応力度は基準強度の1.1/3倍です.これは50年間荷重が掛かりっぱなしでも大丈夫なように定めた許容応力値です.3ヶ月程度の長期の積雪に対しては基準強度の1.43/3倍した値を,また,3日程度の短期の積雪に対しては基準強度の1.60/3倍した値を許容応力度として用いることと規定されています.
(MM)