鉄筋コンクリートの建物と,木造の建物それぞれの長所と短所を教えて下さい.
鉄筋コンクリートの建物と言っても,戸建ての住宅と集合住宅があり,集合住宅においても最上階か中間階か西の端かといった住む位置によって異なってきます.一般に,コンクリート造は木造に比べて,熱容量が大きいことが大きな特徴です.したがいまして,温まりにくく冷めにくいので,そのことによるいろいろな長所短所があります.例えば,コンクリート造の最上階に住んでいると,真夏において昼間熱せられた屋上のコンクリートが夜になって外気温が下がってもなかなか冷めなくて寝苦しいということが起こります.クーラーをかけて室温を下げても天井からの放射熱でとても暑く寝苦しいのです.冬の寒いときに日向ぼっこをしていると太陽からの放射熱で暖かいのと同じ原理ですが,それが夏に起こったのでは体によくありません.これを「石焼イモ現象」といいます.石焼イモが熱せられた石からの放射熱で中までこんがりと焼き上がるのと同じように,人間もこんがりと焼き上げられたのではたまりません.最近ではこの現象を緩和するために,陸屋根の屋上の上にさらに屋根をつけて,かつ屋上換気をしたり,屋上緑化により植物からの蒸散熱で屋上の温度上昇を抑えたりする試みがあります.
コンクリート壁面の熱容量が大きいことで,午前中において,内壁面の温度がいつまでも低く,壁面温度が露点温度を下回ることになり,壁面結露が起こりやすい,延いてはカビが生えやすいといったことがあります.一方,室温の日変化はコンクリート造の方が小さいと言えます.
木造の方が水分に対する吸放湿性が大きいのではないかということが考えられますが,コンクリート造でも内装に木材を使ってあればあまり違いはないようで,意外にも天井裏などの小屋組みの木材もマクロにみれば室内の湿度変化に関与しています.
(MM)