最新木質建材[二次加工品系]
419 MDF複合床板
MDF based composite flooring

420 厚単板化粧床板
thick fancy veneer overlaid flooring

421 薄単板化粧床板
thin fancy veneer overlaid flooring

説明  一般に床板(フローリング)は,JASにより単層フローリングと複合フローリングの2種類に大別されています.単層フローリングとは無垢材および集成材を使用したフローリングで,その基材の表面に厚さ 1.2mm未満の化粧単板を貼り合わせたものも含んでいます.もう一方の,複合フローリングは単層フローリング以外のフローリングを指し,化粧単板を貼る基材の種類によって,複合1種,2種,3種に分類されています.
  • 複合1種フローリング:合板のみを基材とした複合フローリングのことで,ランバーコア合板を基材にしたものは次の複合2種フローリングとして扱います.
  • 複合2種フローリング:集成材のみ,または単板積層材のみを基材とした複合フローリングです.
  • 複合3種フローリング:上記1種,2種以外の複合フローリング.例えば,図に示すようにMDFやパーティクルボード等のボード類を基材としたもの(ただし,表面の木質材の厚さは1.2mm以上とする)や,防音フロアなどのように緩衝材が基材の間や裏面に接着されているものなどがあります.
規格 JAS「フローリングの日本農林規格」
フローリングの沿革  我が国のフローリング工業の始まりは 1913年(大正2年)ナラ材の単層フローリングからとされいますが,その技術も機械も欧米からのものでした.フローリングは,そのころ発展してきた紡績工場の床として使用され,関東大震災後急激に伸びていきました.昭和になるとブナフローリングが生活の西洋化に伴って広く使われるようになり,戦後は米軍のまとまった需要を受けて量産が進みました.
 1953(昭和28)年に床板として,日本農林規格(JAS)が初めて制定され,生産も増加,1965年頃になると粗悪品が出回り始めたため,翌年に「広葉樹天然乾燥床板」の規格がつくられ,1969年の改正を経て現行の規格に統一されました.
 一方,複合フローリングは,1957(昭和32)年頃から製造され始め,JASが制定されたのは1966年であり,当初は積層床板,積層フロア,フロア,合板フロア,プライフロアなど様々な呼び名がありましたが,1974年の改正で「複合フローリング」として統一されて,1991年に現行の分類が制定されました.
突き板の種類  床材の表面化粧用に使用される突き板とは,天然木を薄くスライスしたもので,厚さは便宜上,薄づき(0.18~0.4mm),厚づき(0.5~1mm),特厚(1~3mm,最近ではさらに12mmまで)の3種類に分けられています.
 古くから突き板の厚みを表現する場合に「10枚づき」といっていましたが,これは 1分(3mm)の厚さから10枚の突き板がとれるという意味で,スギの柾目を貼った天井(貼り天という)には「13枚付き」の突き板が使われていました.
 突き板の切削方法にはスライス,ロータリー,ハーフラウンドロータリー,逆ハーフラウンドロータリーの4種類があり,切削方法は,樹種や原木の状態,板目・柾目・杢目取りなど,どのような突き板を制作するかによって選択されます.床板用として使用されるのは主にスライス単板であり,原木をフリッチ(平角材)または4つ割にしたものを,「スライサー」と呼ばれるナイフを備えた機械で平削りすることにより製造されます.フリッチの木取り方や機械への取付け方によって,板目やまさ目が取れます.
MDF複合床板  MDF複合床板は,複合 3種フローリングに分類され,3mm前後の薄物の MDFと合板とを複合した基材を使用し,MDFが上層,合板基材が下層の 2層構造になっている場合が多い.MDFの硬さを利用し表面強度が高く,傷が付きにくいことや,近年,材料枯渇・環境破壊が問題視されている南洋材の使用量を減らすことができるのが利点であります.化粧材としては,突き板のほか,樹脂シートや,化粧印刷紙なども使用されます.
 MDFは温度や水分の変化による寸法変化が合板に比べて大きいですが,表面平滑性や材色といった外観品質面では合板に比べて優れており,製造条件を工夫することで,水分変化に対して寸法の安定したものが製造されています.


厚単板化粧床板  厚単板化粧床板とは,複合フローリングのうち基材の表面に厚づき(0.5~1mm)の化粧単板を接着したもので,化粧単板には,広葉樹のナラ,ブナ,カバ,イタヤカエデなどが多く,通常のスライス単板のほかに,乾燥単板をテープ貼りして乱尺柄としたものも使用されています.厚単板化粧は薄単板に比べ,高コストとなる一方,質感が高く,高級感があるのが特長ですが,仕上がりをよくするために,着色や塗装に工夫が必要となります.


薄単板化粧床板  薄単板化粧床板とは,複合フローリングのうち基材の表面に薄づき(0.18~0.4mm)の化粧単板を接着したものです.薄単板の接着には,乾式接着法と湿式接着法がありますが,現在は単板を乾燥させないで接着する湿式接着法が主流です.酢酸ビニル樹脂エマルジョンを主体とし,ユリア・メラミン共縮合樹脂を少量混合した接着剤が主に用いられています.化粧単板の膨張・収縮によるオーバラップや隙間・表面割れ・接着剤のしみ出し・ホルムアルデヒド放散を防ぐための,工程上の注意が必要です.
 薄単板化粧床板に用いられる化粧突き板は薄いため,材のあばれが少なく,またコストも低くなることから種類も豊富です.樹種別にみると,広葉樹ではナラ,ブナ,カバ,イタヤカエデ,メイプル,カリンなどがありますが,針葉樹ではヒノキ,マツなどがよく見られます.
 もっとも多いデザインとしては,角材を巾,長さ方向に積層接着して乱尺柄とし,それをスライスした乱尺積層単板があります.いずれの床板も通常は,施工に必要な実(さね)加工を周囲に施し,着色,塗装を行って最終仕上げとします.


縁を実(さね)加工された単板化粧床板の例


参考文献
  • 木のデザイン図鑑(建築・インテリア・家具):建築知識
  • 木材工業ハンドブック(改訂3版):丸善