最新木質建材[素板木質材料系]
203, 204, 205 合板
plywood

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 合板は,単板(木材の薄い板:veneer)をエレメント(element)に用い,積層接着してできた一枚の板です.通常は,相隣接する単板の繊維方向を直交させ,奇数枚合わせとし,形状安定性を保つため,普通厚さの中央に対して対称構造をとります.
 接着剤は,フェノール樹脂系,ユリア・メラミン共縮合樹脂,ユリア樹脂接着剤などが,要求される接着層の耐水性によって使い分けられています.
 合板の原木は,南方熱帯降雨林産のラワン類が主原料ですが,最近,地球環境維持の観点から原料原木をその他の地域の針葉樹や,さらに進んで人工造林で育成された熱帯・温帯早生樹とする転換が,国産人工林の杉,唐松材も含めて検討・推進されています(製法の詳細は下のフローチャートを参照).実際,針葉樹材利用への転換が進み,日本国内で生産される合板の87%(2011年)が針葉樹合板で占められています.
種類  合板は単板を積層して製造されるので,積層される単板の種類,積層数,積層の方法,接着耐久性で分類されます.接着の程度として特類及び1, 2類があります.
 ほかに,ホルムアルデヒド放散量の少ないものからF☆☆☆☆, F☆☆☆, F☆☆, F☆という区分(JASによる.詳しくは表を参照)や板面での区分(項目は節,割れ,虫穴など)もあります.
 針葉樹からできたものを針葉樹合板,広葉樹からできたものを広葉樹合板,またその中でも厚さ3mm以下のものを薄物合板と区分することもあります.

ホルムアルデヒド放散量
表示平均値(mg/L)最大値(mg/L)
F☆☆☆☆0.30.4
F☆☆☆ 0.50.7
F☆☆ 1.52.1
F☆ 5.07.0
規格 JAS「合板の日本農林規格」
用法  家具材料,建築内装材,建築構造部材,コンクリート型枠材,足場板,船艇用材,梱包用,折り箱があります.
 箱物家具の表面材や建築内装材としての需要も多くあります.(写真参照)
物性  合板は,汎用性の高い素材ですから種々の加工の対象になっていますが,おもな加工の手法として機械加工(鋸断,溝付け加工,Vカット加工,曲げ加工,穴あけ加工,型押し加工,スカーフ接合),表面加工(天然木突き板化粧,プラスチックフィルムや印刷紙や紙などのオーバーレイ,あるいは塗装),化学加工(防虫,防腐,防カビ,難燃化,寸法安定化,耐摩耗性,装飾性などの性能を付与するために,各種の化学薬品を包埋させたり,含浸させたり,注入させる),複合加工(再合板,異種材練り合わせ,曲面合板,フラッシュ加工,構造用パネル)があります.
参考文献
  1. 「木材の工学」日本木材学会/文永堂出版株式会社/1991
  2. 「木材活用事典」同編集委員会/株式会社産業調査会/1994
  3. 「木材工業ハンドブック」同編集委員会(林業試験場監修)/丸善株式会社/1991

合板製造工程のフローチャート
使用例
収納庫への使用例


内装下地への使用例


箱物家具への使用例