最新木質建材[素材系]
103 カラマツ(唐松)
Japanese larch (Larix leptolepis)

 カラマツはカラマツ属Larixのうちで天然には一番南の方にある種で,また極めて限られた区域に分布している特異な樹種です.本州の温帯上部(東北の一部,関東中部)から亜高山帯の海抜およそ 1000~2500mの間で生育します.北海道にも植栽されています.極端に陽性の樹で,火山地帯,火災跡地などに生じ,富士山,日光,浅間山,八ヶ岳などの天然生林がよく知られています.
樹 形

 高さ30m,直径1mにまで成長します.樹幹はまっすぐですが,ねじれのあるものが多くあります.樹皮は褐色で裂け目を生じ長めの鱗片になって剥げ落ちその痕は赤みを帯びています.葉の形は針状で長さ2~3cm,幅1~1.5mmで先端は鈍い形をしています.雌雄同株で5月に新葉が開くのと同じ頃,短枝に花をつけます.雄花は楕円形で長さ4mm位,雌花は卵形で長さ9mm位,10月に広卵形または卵状球形で枝に上向きに付いた球果が黄褐色に熟します.
材の特徴  カラマツは心材と辺材の区別が明瞭で辺材は白色,心材は褐色を示します.1年輪内での早材から晩材への移り変わりは極めて急で,このことも他の針葉樹と比べて著しく異なっています.木理は一般に通直ですが,肌目は粗くなっています.また,乾燥時に狂いが生じることがあり,樹脂のしみ出しが問題になることがあります.
材 質  材は針葉樹のうちではやや重硬なものの方に入ります.重硬なことと早材・晩材の区別が際立っていることから,切削その他加工はやりにくく,仕上がり面の状態もあまり良くありません.気乾比重0.50,絶乾比重0.48,曲げヤング係数は10×103 N/mm2,圧縮強さ45 N/mm2,引張強さ85 N/mm2,曲げ破壊係数80 N/mm2,剪断強さ 8.0 N/mm2,衝撃曲げ吸収エネルギー4.5 J/cm2,含水率1%に対する平均収縮率は放射方向に0.18%,接線方向に0.28%,硬さは木口面で45 N/mm2,まさ目面で15 N/mm2,板目面で14 N/mm2程度です.
用 途  地形杭,橋梁・仮設用などの土木用材,枕木,土台,軸組材などの建築用材,足場丸太などに使用されます.各種の農漁用材,器具用材,包装用材,船舶用材,パルプ用材などに用いられます.心材の重厚な色調,木理を生かした床柱,床框,棹縁,長押,などの建築装飾材および家具用材,工芸品にも用いられます.樹皮のタンニンは染料となり,樹脂からはテレビン油が取れ,天然木につくきのこのエブリコは薬用(胃腸薬)とされます.