最新木質建材[素材系]
102 ヒノキ(桧,檜)
Japanese cypress (Chamaecyparis obtusa)

 ヒノキの天然分布は福島県東南部以南の本州,四国,九州で南端は屋久島ですが,九州での分布はやや少なめです.山地では中腹から尾根筋によく現れ,長野県木曽,岐阜県裏木曽および飛騨地方,和歌山県高野山,高知県西部の天然林がよく知られています.
樹 形

 高さ40m,胸高直径2mにもなるものがありますが,ふつう直径1m程度まででスギほど老木にはなりません.樹幹はまっすぐ,完満であり,ふつう枝下が長く,枝は細くなっています.
材の特徴  辺材は淡黄白色,心材は淡黄色から淡紅色で,辺心材の境界ははっきりしない樹種です.早材から晩材への推移は穏やかで,木理は通直,肌目は精で,特有の芳香と光沢とがあります.
材 質  気乾比重0.44,絶乾比重 0.40,圧縮強さ 40 N/mm2,引張強さ120 N/mm2,剪断強さ7.5 N/mm2,曲げ強さ 75 N/mm2,曲げヤング係数9.0×103 N/mm2,含水率1%あたりの平均収縮率は放射方向に0.12%,接線方向に0.23%,硬さは木口面で37 N/mm2,まさ目面・板目面とも11 N/mm2程度です.
 上記の値はいずれにせよスギよりもかなり大きく,さらに比重で割った値(比強度)も高い値を示し,構造材として優秀なことを示しています.心材の耐久性は著しく高く,狂いが少なく,仕上げ材面の状態は極めて良好で特有の光沢があるので,わが国国産材第一の優良材であり,また世界的にみても最も優秀な材の1つです.
用 途  ヒノキは装飾材として高級な用途に使われるのが普通です.建築材では各種の板類,ひき割類,ひき角類に広く用いられますが,特に柱,土台,天井板及び床まわり,敷居,鴨居,長押,縁甲板,浴槽及び浴室まわり,流しなどに用いられます.建築材以外では,器具材,家具材,建具材,機械材,船舶材,土木材,などに用いられますが,特に狂いが少なく,強さが要求される物に賞用されます.