最新木質建材[素材系]
101 スギ(杉)
Japanese cedar (Cryptomeria japonica)

 スギはわが国で最も有名な樹で,人工植栽したものを含み,北海道南部から屋久島までの冷温帯下部から暖温帯全域に分布しています.
 美林が各地にあり,秋田,飫肥,北山,智頭,屋久,吉野,日田,天竜などのスギがよく知られています.
樹 形

 高さ40m,直径2mにもなりますが,老木で特に巨大なものは高さ50m,直径5mあまりになるものがあります.樹皮は赤褐色から暗褐色で縦に長い割れ目が入り,繊維質で細長く剥離します.樹幹は極めてまっすぐで完満,枝下が長く枝は細いのが一般的です.葉の断面はやや縦長の菱形で4面に白い気孔線があります.
材の特徴  辺材と心材の区別は明瞭で辺材はおおよそ白色,心材は淡紅色から暗褐色で,時に黒褐色を帯びています.淡紅色程度のものを俗にアカジン,黒褐色のものをクロジンと言いますが,前者でも日時が経つと材面が黒褐色を帯びてくるものもあります.早材から晩材への推移はおおむね急で,年輪幅の広狭,その整・不整は成長状態によってさまざまです.木理は通直で肌目はやや疎い,スギ材特有の匂いがあります.
材 質  気乾比重0.38,絶乾比重 0.35,圧縮強さ 35 N/mm2,引張強さ90 N/mm2,曲げ強さ65 N/mm2,曲げヤング係数7.5×103 N/mm2,衝撃曲げ吸収エネルギー 3.5 J/cm2,含水率1%当たりの平均収縮率は接線方向0.25%,放射方向0.10%,硬さは木口面で32 N/mm2,まさ目面10 N/mm2,板目面8 N/mm2程度です.
 スギは一般建築用材として最も普通に用いられているので,構造材として使用する場合には,その許容応力度は設計上重要な意味を持っています.
用 途  建築材,ことに一般木造住宅用材に用いられます.一般的な呼び方では柱,梁,土台,板,樌,たるき,その他各種のものに最も普通な材として使われています.装飾的なものでは床柱(磨丸太),天井板,長押,欄間などがあり,屋根板,足場丸太などにも用いられます.その他の用途として,建具材,土木材,船舶材,車両材,器具材,家具材,包装材,樽桶材,下駄材,楽器材に用いられます.
 一般的材料としてはスライス単板,集成材,木質ボードやパルプの原料として使われます.