木材で囲まれた空間の湿度変動は何故少ないか?
文化財の保存にとって,湿度管理は重要である.
湿度変動によって,木製品など吸湿性の材料は伸縮し,その結果,割れ,狂いが生じたり,塗膜,絵の具類の亀裂,剥落が起こる.湿度が常に高いと,木製品,紙製品類は生物劣化を受け易く,金属製品は腐食し易い.
それを防ぐため,博物館,美術館などの収蔵庫の内壁面には木材が内装され,重要な文化財については,桐などの櫃内に保存されている.
この理由の一つとして,木材が湿度を調節する働きのあることが上げられる.木材は,吸湿性に富む材料で,周囲の温度,湿度条件に応じて,一定量の水分を保有している.周囲の温度,湿度が変化すると,木材が吸・放湿して,湿度の変動を緩和する.
住宅の内装材料においても,湿度調節の機能を備えていることが,結露,カビ汚損,ダニ発生などの防止のために重要である.(MN)