建て替えのために壊された住宅は全て産業廃棄物となるのでしょうか?ショベルカーなどで一気に解体している様子を見ていると,とてもリサイクルしているようにはみえないのですが……?
一般に,家屋解体といっても,その方法によってリサイクルの実態は異なります.一番リサイクルしやすい解体方法は,ゆっくり時間をかけて,大半を人手で行う完全分別解体ですが,これは経済的にも殆ど行われません.またその正反対の方法として,「ミンチ解体」と呼ばれる,大きな重機で分別など一切せずに壊してしまう方法ですが,これは出てくる廃材は全て混合物となり,御指摘の様に,リサイクルは不可能となり,現実的にこうした廃材はまともな廃棄物処理業者は,受入れを拒否,またはかなりの高額でしか引取しません.2001年5月に建設リサイクル法が施行されますが,こうしたミンチ解体は禁止されています.(残念ながら悪徳業者等は,これを行なっており,社会問題化していますが)
実態としては,重機を使いながら,やはり人手で解体と分別を行う方法が現時点での最も現実的な方法であり,現場にて粗方の分別,例えば木材と瓦,ガラス,金属類,畳などを分けて,夫々を専門の業者が引き取るという方式で,夫々のルートでリサイクル化するという方法が取られています.こうした方法を分別解体と呼ばれていますが,建設リサイクル法では,家屋の解体作業は分別解体しなければならないとされており,施主がその責任を負うことになっています.よって,一般の人が家を建て替える時には,法律的にはその施主である人がこうした分別解体と,出てくる廃材のリサイクル義務を負うこととなっています.施行を前に,業界ではかなりの混乱が予想されています.
(ボードメーカー勤務・TY)