「パイン」と呼ばれている木材ですが,北欧産のアカマツ全般を指しているのでしょうか? はたまた輸入材のアカマツがそのように呼ばれているのでしょうか? 国産のアカマツでもパインと呼ばれるのでしょうか? よく輸入住宅のカタログなどに床はパイン無垢を使用などと書かれていますが,正確な定義などあるのでしょうか?
パイン材という言葉の意味だけで言うと松ですから国産の松でもアメリカ産の松でもヨーロッパ産の松でもかまわないということになりますが,一般的な意味で言うとパイン材と呼ばれているのは欧州赤松と呼ばれる北欧産の松のことを言います.しかしこの一般的というのもここ5年ぐらいのことです.
それまではあまり欧州赤松は日本には入っていなかったのでパイン材という呼び名は一部の業者の方だけが使っていた言葉でした.国産の松の場合,日本住宅の梁に使われる赤松黒松は「地松」という呼び方をされます.これは対するにアメリカ産の「米松」と区別するために慣習化したものと思います(実際には米松と呼ばれている木は松ではなくダグラスファーと呼ばれる木ですが).また,日本でたくさん植林されているカラ松はパインではなくそのまま「カラマツ」と呼ばれています.
日本に入荷される松で多いのは2×4建築の構造材のSPF(この材はスプルースとパインとファーの混合して生えているカナダ内陸産の材種をひっくるめて略して呼ばれます)というカナダ産の材種です.この木はどこのホームセンターでも販売されている白っぽい木です.また,アメリカ産のサザンイエローパインと呼ばれる,家具とか防腐されてデッキとかに使われるパインもよく見かけます(強度があるのでボーリング場のレーンに使われたりしています.少し黄色い年輪のはっきりした木です).最後に欧州赤松です.これらがパイン材の輸入御三家と言うところでしょう.(ラジアータパインと呼ばれるニュージーランド産の松もありますが,これは内装材にはほとんど使われていません.)
しかし輸入業者によっては他意はなくカナダ産のものもアメリカ産のものもパインと言う名前で販売しているところもあると思います.我々専門業者では間違えるといけないので必ず,本来の樹種名を言いますが,建材メーカーさん等は長い名前になったり分りにくい名前を嫌うので単純に「パイン」で済ませているところが多いのが実情です.ですから輸入住宅でヨーロッパからの輸入住宅の場合はフローリングにパイン材使用と書いてあれば欧州赤松と考えて間違いありませんが,カナダ・アメリカからの輸入住宅の場合はパイン材と書いていれば,SPF材のことだと思います.(カナダのSPF材は安いのでアメリカへもたくさん輸出されています.)
以上がパインの説明ですが,施主様からパイン材を指定されたとしたら欧州赤松を使っておけば間違いはないと思います.(商品的には出回っていますし,品質も安定していますので無難です.)
(KN)